コーヒー旅行記 「2015年ブラジルミッションレポート」

6月12日(金) 夜中の羽田出発

今回はドバイ経由でのブラジルです。

ブラジルへは毎回のことですが、時間の感覚が全く無くなります。今回も行きと帰りで10本ほど映画を観た記憶があるのですが、ストーリーを思いだせるのは3本ぐらい。また何回の食事が出たのかも定かでない様な、そんな26、7時間×2の長旅です。

ブラジル地図

今回はブラジル国内での移動は空路を予定していたのですが、飛行機のトラブルで急遽陸路となりました。5時間揺られて、次の日はまた7時間ぐらいと、これも記憶も曖昧になるほどの夢心地と笑い飛ばしてしまいたいような時間でした。それもそのはず、日本の凡そ23倍の国土、ブラジル、テラロッシャ(赤土)の大地が永遠に続くかと思うほどです。

コーヒーチェリー 生豆

今回の目的は、農園視察と買付のほかに、コーヒーチェリー[写真左]を収穫し、ウエットミルと言われている行程を経てドライミルへ。その後選別をして「コーヒー生豆」[写真右]になります。

簡単に言えば、その選別の検証と比較というのが一番の目的でした。またそれは、現在進行形ですので後日の報告とさせていただきます。

ウエットミルからドライミルへ、そしてコーヒー生豆

コーヒーの実 黄色く熟した実

コーヒーの実は赤く熟し[写真左](黄色に熟す品種もある[写真右])コーヒーチェリーと呼ばれます。そのコーヒーチェリーを収穫して果肉を除去、パーチメント(外皮付きのコーヒー豆)の状態にする工程を「ウエットミル」と言います。

乾燥後のパーチメントを脱穀、選別し、生豆(グリーンビーンズ)の状態にする工程を 「ドライミル」と呼びます。

6月14日(日) モジアナ地区視察

当初の予定には入って無かったエリアですが、モジアナは生産地としては古く、昔ながらの伝統的な農園があるところでもあり、ブラジルコーヒーの基本を学びました。[写真No.002~006]

この写真は、左からベルジ(未成熟豆)・セミウォシュド用(パルプ・ド・ナチュラル用)、線から右2つがボイヤ(樹上完熟)のナチュラル用。右端がバヘソン(ほうきの意味で、地面に落ちたチェリーを掃き集めることからその名前が付いた。)主に国内用です。

●セミウォシュド(パルプ・ド・ナチュラル)

パルプ・ド・ナチュラル

コーヒーチェリーの果肉を除去したのち、パーチメント(外皮付のコーヒー豆)にミシュレージ(ぬめり)を付けたまま乾燥させる生産工程のことです。甘味のあるコーヒーに仕上げるのに役立ちます。良質なコーヒーに仕上げるには、技術力と繊細な作業が必要です。
最近では中米各国とそれ以外の生産国でもトライされている生産工程であります。

●ナチュラル

ナチュラル

ナチュラルは収穫したコーヒーの実をそのまま乾燥させる方法です。ブラジルとエチオピア、イエメンでは一般的な方法ですが、それ以外の国では主に国内消費向けに作られています。他の生産処理と比べると簡素な方法ですが、乾燥日数が多くなります。乾燥した実を脱殻して、豆を取り出します。独特の香りや甘みがあるコーヒーになり、私は最も好きなコーヒーに仕上がります。

枝に付いたチェリーの数量により収量予測をたてる

例えばコーヒーの木1本に平均5リットルの実をつけます。100本でチェリー500ℓが1袋60kg になります。ヘクタール単位で33袋が平均収量となり、その年の肥料等の目安とするそうです。

コーヒーは植えてから3年ほどで収穫できます。1mほどの木で3リットル収穫できるらしいです。

6月15日(月) patrocinio

Drymill CAFEBRAS 訪問

カフェブラスにてミーティングと比重選別視察

Fazenda Barinas セラード アラシャ訪問

現経営者が2012年より開始した農園。父は牧場経営でしたが、祖父の意思を引き継ぎました。
・標高:930~1,000m
・精製方法ナチュラル100%
今後は、ブルボンの増産とアフリカンベット・ビニールハウスの設置等、予定。
将来が楽しみな農園です。

6月16日(火) ALTO CAFEZAL 訪問

17・8年ほど前のことですが、ルシアーナ農園(オーナーの娘さんの名前を付けた農園)という、何とも愛らしいネーミングに惹かれ、いつか行ってみたいと思っておりました。

今回のALTO CAFEZALがその会社で、やっと夢が叶った瞬間でもありました。当時、日本国内で、其々の会社の規模は違がっていたのですが、旨いコーヒーを輸入したいという共通の目的を持った数社が集まり、色々な企画に挑戦しておりました。その一つの企画が、ワインボトルに濃縮コーヒーを充填、商品化したもの。それに使ったコーヒーがルシアーナ農園のコーヒーでした。全国の自家焙煎店が産地にでかけ、情報を共有し商品化、販売していくという当時としては画期的な仲間でした。中米の豆の買い付けもその数社で行っていたことがありましたが、ルシアーナ農園には結局行けなくて残念だったという思いもありました。

今回ご一緒させていただいた金澤屋さんもそのひとりで、それ以後、生産国に何回となくご一緒させていただいております。また当時の企画をカタチにしていただいていたのは、今回もお世話になったUCC上島珈琲さん(特販と当時から私は呼んでいます。)と伊藤忠さんです。

ALTO CAFEZALは本社より60キロ圏内に17農園を保有、2,700haの大規模農園です。1972年に現在のセラード地区(それまでのセラード地区というのは、農作物が育たない土地と言われておりました。日本のODA、農業技術指導等により、現在では世界一の生産量を誇る大規模農園のあるエリアへと変貌しました。土地が痩せていたこと以外は、収穫期に雨が降らない、フラットで広大な土地であり、収穫などは機械化が可能でコーヒーの栽培農園としては適した環境)に農園を構え90年代にやっと品質が認められたそうです。

今回のミッションでも最も印象に残ったのが、ALTO CAFEZAL社のオーナーの姿勢です。

2日間の日程ではありましたが、人間味があり、日本で言うところの「名物社長」のような印象に残る方でした。ルシアーナ農園と名付けたご本人、その人でした。

今回はALTO CAFEZAL社の「ルシアーナ農園」「ユニオン農園」「パメイラス農園」を訪問させていただきました。

ユニオン農園はセラードに入植した当時からの農園で、40年以上前に植えられたブルボン種とムンドノーボ種が植えられており、コーヒーのカッピングをしました。

パルプ・ド・ナチュラル製法=ハニープロセスのコーヒーが素晴らしい。『クラッシック・ハニー40』(CLASSIC HONEY40)というネーミングに皆で決め、さっそくサンプルを送っていただく約束をしました。

IBC12と言う品種のコーヒー。大粒で果肉の糖度が高く、たくさんの実をつける新しい品種です。

6月17日(水)シャパドン セラードエリア

Faznda Sant Rita(サンタ・リタ農園)訪問

火山によりカルデラが形成されその中に農園は位置しています。

湖があり、風光明媚なところで観光地でもあります。肥沃な土地、良質なコーヒーが生産されるエリアで、日本の自家焙煎店にも人気のエリアです。

6月18日(木)バルジニア

Fazenda Caxambu(カッションブ農園)訪問

設備がしっかりとしており、綺麗に保たれています。
ゲストハウスでジュースをいただきました。

Fazenda Capetinga(カペティンガ農園)訪問

UTZカフェ、レインフォレスト等認証を多く取っている農園。
イタリアのイリーとの取引があるようです。

Cafebras Varginha倉庫訪問

Cafebrasにて Sampleワーク

セラード・プリマベーラ農園
シャパドン サンタリタ農園
南ミナス カッショブ農園

エスプリット・サント産、他多数をカッピング。
今回のミッションの目的のコーヒーの検証をし、 方向性が確認できました。

6月19日(金)Santos

サントス港 旧コーヒー取引所 café paulista Ucc ueshima coffee do brasil ltda 訪問

懐かしい街の香りがあり、残したい風景です。

UCCさんも新しい事務所でした。

メディアに出てくる有名なクラシフィカードル(コーヒー鑑定士)にも会えました。

食事について

↑農園でお昼ご飯をいただく。肉の煮込み料理とタイ米のようなご飯、スパゲティー、ポンテケージョという最近日本でもよく見かけるモチモチとしたチーズパンが美味しい。

↑昼食、ドライブインと言ったところ。味は濃いところが多い。

↑ピンガ、日本ではカサーシャと言われている。カイピリーニャはこれにライムを潰して砂糖を加えクラッシュアイスを入れるカクテル。カイピリーニャは「田舎者」と言う意味。泡盛のようなテイストが美味。

↑ブラジルでも都市部では、美味しいところがあるが・・・

↑シュラスコ(ブラジル版BBQ) 塩味が濃いが美味しい。ビールが進む。

↑やはりコーヒーが一番!

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